近年、代替医療や補完療法への関心が高まる中で、整体が椎間板ヘルニアの症状改善に果たす役割についても科学的な検証が進められています。これまでの研究では、整体による手技療法が、筋肉の緊張緩和、関節の可動域改善、痛みの軽減、機能改善といった効果をもたらす可能性が示唆されています。
例えば、いくつかの研究では、整体療法を受けた椎間板ヘルニア患者において、痛みのVAS(Visual Analog Scale)スコアの有意な低下や、 Oswestry Disability Index (ODI) といった機能評価指標の改善が見られたと報告されています。これらの研究は、整体が単なるリラクゼーションではなく、生理学的な変化をもたらす可能性を示唆しています。
整体の効果のメカニズムとしては、以下のような点が考えられています。
侵害受容性刺激の抑制: 整体の手技による皮膚や筋肉への刺激は、痛みの信号が脳に伝わるのを抑制する可能性があります。これは、ゲートコントロール理論として知られています。
内因性鎮痛物質の放出: 整体の刺激が、脳内や脊髄におけるエンドルフィンやセロトニンといった内因性鎮痛物質の放出を促し、痛みを軽減する可能性があります。
自律神経系の調整: 整体は、自律神経系のバランスを整える効果があるとも言われています。椎間板ヘルニアによる慢性的な痛みは、自律神経系の乱れを引き起こすことがあり、整体による調整が痛みの緩和に繋がる可能性があります。
筋膜リリース: 近年の研究では、筋膜の歪みや癒着が痛みの原因となることが注目されています。整体の手技は、筋膜リリース効果を発揮し、筋肉や神経の動きをスムーズにすることで、痛みを軽減する可能性があります。
ただし、整体による椎間板ヘルニアの改善効果については、まだ研究段階であり、大規模な臨床試験によるさらなる検証が必要です。また、どのようなタイプの整体手技が、どのような症状の患者に最も効果的なのかについても、今後の研究が期待されます。