精神障害のある人の尊厳の確立を求める決議とは
精神障害のある人は、強制入院や差別偏見など、多くの人権侵害にさらされてきました。日本弁護士連合会は、2021年10月15日に、精神障害のある人の尊厳を守るために必要な法制度改革や施策を国に求める決議を採択しました。この記事では、その決議の内容や背景について解説します。
精神障害のある人に対する人権侵害の実態
精神障害のある人は、精神保健福祉法によって、本人の意思に反して入院させられることがあります。この強制入院制度は、精神障害のある人だけを対象としており、他の疾患のある人には適用されません。強制入院は、その人の人格、名誉、尊厳を傷つけ、教育や就労、家庭などの人生選択の機会を奪います。また、長期間の入院は、地域から隔離されることで、社会的な孤立や貧困を招きます。
精神障害のある人は、入院中にも様々な人権侵害に遭うことがあります。例えば、身体拘束や隔離などの行動制限や、強制的な投薬や手術などの医療行為が行われることがあります。これらの措置は、本人の同意や必要性が不十分な場合も多く、身体的・精神的な苦痛や後遺症を引き起こすことがあります。また、入院者の退院請求や処遇改善請求に対する手続きや支援が不十分であることも問題です。
日本弁護士連合会が求める法制度改革と施策
日本弁護士連合会は、精神障害のある人に対する人権侵害を根絶するために、以下のような法制度改革と施策を国に求めています。
- 精神障害のある人だけを対象とした強制入院制度を廃止し、廃止に向けたロードマップ(基本計画)を作成し、実行する法制度を創設すること
- 精神科医療においても等しく適用される、患者の権利を中心にした医療法を速やかに制定し、インフォームド・コンセント法理を始め一般医療と同等の質及び水準の医療を提供することを確認し、その運用、周知のために必要な法整備を行うこと
- 強制入院制度廃止までの間、精神障害のある人に対する強制的な入院や行動制限等尊厳に関わる取扱いには、精神医療審査会制度が厳格に運用されるようその独立性、委員構成及び審査手続等を抜本的に見直し、国が必要な予算措置を講ずること
- 精神障害のある人について、その人にふさわしい地域生活を保障するため、精神病床を削減し、精神科医療にかかる予算や医療従事者を地域医療福祉へと計画的かつ円滑に移行させること精神障害のある人が地域で自分らしく安心して暮らすことができるよう、住居確保、障害年金や生活保護等による所得保障の充実、雇用環境の整備、精神的不調等が生じた場合に地域生活を継続するための相談・支援等、必要かつ実効的な障害福祉サービス体制を確立すること
- 精神障害のある入院患者が不安なく地域で暮らすことを指向できるよう、地域移行に向けた明確な目標を定め、病院施設にピアサポーター及び福祉専門職による退院支援活動の受入れを義務化するなど、目標達成を確実にする施策を立案し、そのための予算措置を講じること
- 精神障害のある人の尊厳の回復及び精神障害のある人に対する差別偏見のない社会の実現のため、精神障害のある人に対する患者隔離の法制度がもたらした構造的な人権侵害、それにより社会構造となった根深い差別偏見の実態について、調査・検証し、損なわれた尊厳と被害を回復させるための法制度を創設するとともに、差別を解消しインクルーシブな社会を実現するため、市町村の中心部に交流・相談等の地域拠点を整備するなど誤った社会認識を是正する実効的な施策を行うこと
- 障害者権利条約の求める、人権の促進及び擁護のための国家機関(国内人権機関)の地位に関する原則(パリ原則)にのっとった国内人権機関の創設及び個人通報制度の導入
障害者権利条約とは
障害者権利条約は、障害者の人権や基本的自由の享有を確保し、障害者の固有の尊厳を尊重するために制定された国際条約です。2006年に国連総会で採択され、2008年に発効しました。日本は2014年に批准しました。この記事では、その成立経緯と主な内容について解説します。
障害者権利条約の成立経緯と主な内容
障害者権利条約は、世界の障害者の人権状況の改善を目指して、障害者団体や人権機関、国連専門機関などが主導的に参加して、2001年から2006年にかけて起草されました。障害者の権利に関する初めての国際約束として、障害者の参画や合理的配慮、ユニバーサルデザインなどの概念を明確に定義しました。
障害者権利条約は、序文と50条からなります。序文では、障害者の多様性や社会的モデル、人間の安全保障などの観点から、障害者の権利に関する基本的な考え方を示しています。50条では、条約の発効や改正、解釈などに関する手続きを規定しています。その間の条文では、以下のような内容が規定されています。
- 一般原則(第3条):尊厳、自己決定、自立、非差別、参画、多様性、受容など
- 一般的義務(第4条):条約の履行に向けた措置や法整備、障害者団体との協力など
- 個々の権利(第5条~第30条):平等と非差別、女性と子どもへの配慮、意思決定能力や法的能力の保障、アクセシビリティ、生存権や健康権、教育や雇用への参加など
- 条約の実施(第31条~第33条):統計やデータ収集、国内監視枠組みや国際協力など
- 国際的監視(第34条~第40条):障害者権利委員会や政府報告など
障害者権利条約の国内周知と政府報告
障害者権利条約は、国内で広く周知されることが求められています。そのために、外務省はホームページやフェイスブック等を用いた情報発信を行っています。また、条約の趣旨や成立経緯、我が国の取組や主な内容などについて取りまとめた広報パンフレットを作成し、障害者関係団体や人権擁護局支部に加え、全国都道府県・政令指定都市に送付しました。さらに、点字データや音声データもダウンロード可能としています。
また、障害者権利条約は、各締約国が自国での条約の履行状況について報告することを定めています。この政府報告は、障害者権利委員会によって検討され、提案や勧告が行われます。我が国は2016年2月19日に初回報告を提出しました。この報告では、我が国の法制度や施策について詳しく説明するとともに、障害者政策委員や障害者団体との協議や意見交換の過程も紹介しました。障害者権利委員会は2018年9月に報告を検討し、2018年10月に提案や勧告を発表しました。これに対して、我が国は2019年2月に回答を提出しました。この回答では、提案や勧告に対する我が国の見解や取組を示しました。
片頭痛を予防する新薬の保険適用とは
片頭痛は、激しい頭痛や吐き気などの症状を引き起こす神経系の疾患です。日本では、約2000万人が片頭痛を経験していると推定されています。片頭痛は、日常生活や仕事に大きな影響を与えるだけでなく、心身の健康にも悪影響を及ぼします。この記事では、片頭痛の原因と予防法、そして2021年10月から保険適用されることになった新薬の効果と副作用について解説します。
片頭痛の原因と予防法
片頭痛の原因は、まだ完全には解明されていませんが、脳内の神経伝達物質であるセロトニンやカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)などが関与していると考えられています。これらの物質が異常に増減することで、脳血管が拡張・収縮したり、炎症反応が起こったりして、頭痛や吐き気などの症状が引き起こされます。
片頭痛は、ストレスや睡眠不足、飲酒や喫煙、ホルモンバランスの変化などが誘発因子となって発作を起こすことがあります。そのため、予防法としては、以下のようなことが有効です。
- 規則正しい生活リズムを保つこと
- ストレスを溜めないようにすること
- 適度な運動やリラクゼーションを行うこと
- 飲酒や喫煙を控えること
- カフェインやチーズなどの摂取量を減らすこと
- 水分補給や栄養バランスの良い食事を摂ること
- 発作の前兆やサインに気づいたら早めに休むこと
新薬の効果と副作用
片頭痛の治療法には、発作時に服用する急性期治療薬と、発作の頻度や重度を減らす予防治療薬があります。急性期治療薬には、鎮痛剤やトリプタン系薬などがありますが、効果が不十分な場合や副作用が強い場合もあります。予防治療薬には、抗うつ薬やβ遮断薬などがありますが、これらも効果が不安定で副作用が多いという問題があります。
そこで、2021年10月から保険適用されることになった新薬は、片頭痛の発作を引き起こすと考えられているCGRPを阻害することで、片頭痛の予防に効果を発揮すると期待されています。この新薬には、エレノジュマブ(商品名エムガルティ)、フレマネズマブ(商品名アジョビ)の2種類があります。これらは、皮下注射で投与される生物学的製剤で、月に1回または3か月に1回の使用で済みます。
新薬の効果については、臨床試験の結果から、片頭痛の発作日数を約半分に減らすことが示されています。また、副作用については、注射部位の痛みや発赤などが報告されていますが、重篤なものはほとんど見られませんでした。ただし、長期的な安全性や有効性については、まだ十分に検証されていないため、注意が必要です。
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