首の痛みの原因と対策を医師が解説

首の痛みの原因と対策を医師が解説

首の痛み

首の痛みは、多くの人が経験する不快な症状です。首は頭の重さを支えるだけでなく、脳と身体をつなぐ重要な役割も担っています。首に痛みがあると、頭痛やめまい、手足のしびれなど、さまざまな影響が出ることがあります。首の痛みには、様々な原因がありますが、そのほとんどは日常生活の中で改善できるものです。しかし、時には重大な病気が隠れていることもあります。この記事では、首の痛みの原因と対策について、医師が詳しく解説します。

首の痛みの主な原因

首の痛み

首の痛みには、大きく分けて以下の3つの原因があります。

  • 筋肉や靭帯(じんたい)などの筋骨格系(きんこつかくけい)の損傷
  • 頸椎(けいつい)や椎間板(ついかんばん)などの骨や軟骨(なんこつ)の変形や障害
  • その他の内科的・神経学的・精神的な疾患

それぞれについて具体的に見ていきましょう。

筋骨格系の損傷

首の痛み

筋骨格系とは、筋肉や靭帯、関節(かんせつ)など、身体を動かすために必要な組織(そしき)のことです。首には多くの筋肉や靭帯があり、頭や肩と連動して動きます。しかし、以下のような要因で筋骨格系に損傷が生じると、首に痛みが出ることがあります。

  • 寝違え(ねちがえ):寝ている間に首を不自然な角度に曲げたりひねったりすることで、筋肉や靭帯に過度な伸展(しんてん)や捻挫(ねんざ)が起こることです。朝起きたときに首が痛くて動かしにくい場合は、寝違えの可能性が高いです。
  • 姿勢(しせい)や動作(どうさ):長時間同じ姿勢で作業をしたり、スマートフォンやパソコンを見過ぎたりすることで、首周辺の筋肉に負担がかかります。また、重い荷物を持ったり、急激に首を動かしたりすることで、筋肉や靭帯にダメージを与えることもあります。
  • 外傷(がいしょう):交通事故やスポーツなどで強い衝撃を受けることで、首周辺の筋肉や靭帯に損傷が生じることがあります。特に、追突事故などで首が前後に振られることで起こる頸椎捻挫(けいついねんざ)は、首の痛みや頭痛、めまいなどを引き起こすことがあります。

筋骨格系の損傷による首の痛みは、通常、数日から数週間で自然に治癒します。しかし、痛みが強い場合や長期間続く場合は、医師の診察を受ける必要があります。

骨や軟骨の変形や障害

首の痛み

骨や軟骨とは、身体を支えるために必要な硬い組織のことです。首には7つの頸椎という骨があり、その間には椎間板という軟骨があります。しかし、以下のような要因で骨や軟骨に変形や障害が生じると、首に痛みが出ることがあります。

  • 加齢(かれい):年齢とともに骨や軟骨は劣化していきます。特に、椎間板は水分を失って薄くなり、頸椎同士が近づきます。すると、頸椎の周辺にある関節や靭帯が変形し、トゲのような突起(とっき)ができることがあります。これを頸椎症(けいついしょう)と呼びます。
  • ヘルニア:椎間板は中心部にゼリー状の組織を持っています。しかし、加齢や外傷などで椎間板が傷つくと、そのゼリー状の組織が飛び出してしまうことがあります。これをヘルニアと呼びます。ヘルニアは首の後ろから出ることもあれば、前から出ることもあります。後ろから出た場合は、脊髄(せきずい)や神経根(しんけいこん)という神経を圧迫することで首の痛みや手足のしびれなどを引き起こします。
  • 骨化(こっか):加齢や遺伝的な要因などで、首の骨を支える靭帯が分厚くなり、骨化することがあります。これを後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)や黄色靭帯骨化症(おうしょくじんたいこっかしょう)と呼びます。これらの病気は脊髄や神経根を圧迫することで首の痛みや手足のしびれなどを引き起こします。

骨や軟骨の変形や障害による首の痛みは、通常、自然に治癒することはありません。保存的な治療法で改善しない場合は、手術を行う必要があります。

その他の内科的・神経学的・精神的な疾患

首の痛み

首の痛みは、筋骨格系や骨や軟骨の問題だけでなく、その他の内科的・神経学的・精神的な疾患によっても引き起こされることがあります。以下に代表的なものを挙げます。

  • 頚動脈解離(けいどうみゃくかいり):頚動脈という首にある大きな血管の内側と外側の層が剥がれてしまうことです。原因は不明ですが、外傷や高血圧などが関係していることがあります。頚動脈解離は首の痛みや頭痛を引き起こすだけでなく、血栓(けっせん)ができて脳梗塞(のうこうそく)や一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ)を起こす危険性もあります。
  • 頚部リンパ節炎(けいぶりんぱせつえん):首にあるリンパ節という免疫細胞の集まりが炎症を起こすことです。原因は感染症や悪性腫瘍(あくせいしゅよう)などがあります。頚部リンパ節炎は首にしこりや赤み、発熱などを引き起こします。
  • 甲状腺疾患(こうじょうせんしっかん):首の前面にある甲状腺というホルモンを分泌する器官に異常が生じることです。原因は自己免疫疾患や感染症、悪性腫瘍などがあります。甲状腺疾患は首の腫れや圧迫感、発熱や体重変化などを引き起こします。
  • 頸部神経根障害(けいぶしんけいこんしょうがい):首から出ている神経根という神経が何らかの原因で圧迫されることです。原因は頸椎症やヘルニアなどがありますが、時には原因不明の場合もあります。頸部神経根障害は首から肩や腕にかけての痛みやしびれを引き起こします。
  • ストレス:心理的なストレスは身体的な反応を引き起こします。特に、首周辺の筋肉はストレスに敏感で、強張ったりけいれんしたりすることで首の痛みを引き起こすことがあります。

その他の内科的・神経学的・精神的な疾患による首の痛みは、通常、他にも特徴的な症状が伴います。そのような場合は、内科や神経内科などの専門医に相談する必要があります。

首の痛みの対処法

首の痛み

首の痛みの対処法は、原因によって異なりますが、一般的には以下のような方法があります。

    • 鎮痛薬:市販の鎮痛薬(アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬など)を服用することで、痛みを和らげることができます。ただし、用法用量を守り、長期間の服用は避けましょう。
    • 温熱療法:首や肩周辺を温めることで、筋肉の張りやこりをほぐし、血行を促進することができます。蒸しタオルやカイロなどを使って温めるのが良いでしょう。ただし、やけどに注意しましょう。

その他の内科的・神経学的・精神的な疾患

首の痛み

首の痛みには、筋骨格系や骨や軟骨以外にも、以下のような内科的・神経学的・精神的な疾患が原因となることがあります。

      • 感染症(かんせんしょう):インフルエンザや風邪などのウイルス感染症や、扁桃炎(へんとうえん)やリンパ節炎(りんぱせつえん)などの細菌感染症によって、首周辺の筋肉やリンパ節が炎症を起こし、首に痛みが出ることがあります。また、頸椎に感染が起こることで、頸椎化膿性(けいついかのうせい)椎間板炎(ついかんばんえん)や頸椎化膿性(けいついかのうせい)脊椎(せきつい)髄膜(ずいまく)炎(えん)という重篤な病気になることもあります。
      • 関節リウマチ(かんせつりうまち):免疫系(めんえきけい)の異常によって関節に炎症が起こる全身性の病気です。関節リウマチは手足の関節に影響することが多いですが、頸椎にも影響することがあります。頸椎に関節リウマチが起こると、首の痛みや動きの制限だけでなく、脊髄や神経根を圧迫することで手足のしびれや麻痺(まひ)などを引き起こすこともあります。
      • 甲状腺(こうじょうせん)の異常:甲状腺は首の前面にある内分泌器官(ないぶんぴきかん)で、甲状腺ホルモンという物質を分泌しています。甲状腺ホルモンは代謝(たいしゃ)や成長などに関係しています。甲状腺に異常が起こると、甲状腺ホルモンの分泌量が増えたり減ったりします。これを甲状腺機能亢進(こうしん)症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)や甲状腺機能低下(ていか)症(こうじょうせんきのうていかしょう)と呼びます。甲状腺の異常は首の前面にしこりや腫れを引き起こすことがあります。
      • ストレス:ストレスは心身にさまざまな影響を及ぼします。ストレスを感じると、自律神経(じりつしんけい)やホルモンバランスが乱れて筋肉が硬くなったり血流が悪くなったりします。これによって首の痛みやこりが起こることがあります。また、ストレスは頭痛や不眠などを引き起こすこともあります。

その他の内科的・神経学的・精神的な疾患による首の痛みは、通常、他の症状や検査所見などと併せて診断されます。原因に応じた適切な治療を受ける必要があります。

首の痛みの対処法

首の痛み

首の痛みには、原因に応じた対処法があります。以下に代表的なものを紹介します。

筋骨格系の損傷

首の痛み

筋骨格系の損傷による首の痛みは、以下のような対処法があります。

      • 安静(あんせい):首に負担をかけないように安静にすることが基本です。首を動かすときはゆっくりと行いましょう。また、首を固定するためにネックカラー(首輪)を使用することもあります。
      • 温冷(おんれい)療法(りょうほう):損傷直後は、筋肉や靭帯に出血や腫れが起こっている可能性があるので、氷嚢(ひょうのう)や冷湿布(れいしっぷ)などで冷やすことが効果的です。しかし、冷やしすぎると血流が悪くなるので注意しましょう。損傷から2~3日経ってからは、温めることで血流を促進し、炎症を抑えることができます。湿布やカイロなどで温めましょう。
      • 鎮痛(ちんつう)薬:市販の鎮痛薬や消炎鎮痛薬(しょうえんちんつうやく)を服用することで、痛みを和らげることができます。しかし、長期間服用すると副作用(ふくさよう)が起こる可能性があるので注意しましょう。
      • マッサージやストレッチ:筋肉や靭帯の張りやこりをほぐすために、マッサージやストレッチを行うことも効果的です。しかし、強く揉んだり引っ張ったりすると逆効果になる場合もあるので注意しましょう。
      • リハビリテーション:筋力や柔軟性(じゅうなんせい)を回復させるために、リハビリテーションを行うことも重要です。医師や理学療法士(りがくりょうほうし)などの指導のもとで行いましょう。

骨や軟骨の変形や障害

首の痛み

骨や軟骨の変形や障害による首の痛みは、以下のような対処法があります。

  • 保存的治療(ほぞんてきちりょう):薬物療法(やくぶつりょうほう)や物理療法(ぶつりりょうほう)などで症状をコントロールする方法です。薬物療法では、鎮痛薬や筋弛緩(きんしかん)剤(ざい)、ステロイド剤(ざい)などを服用したり、注射したりします。物理療法では、温冷療法やマッサージ、ストレッチ、運動療法(うんどうりょうほう)などを行います。
  • 手術:保存的治療で改善しない場合や、脊髄や神経根の圧迫が強い場合は、手術を行う必要があります。手術では、椎間板や突起などの異常な組織を切除したり、頸椎の固定したりします。

その他の内科的・神経学的・精神的な疾患

首の痛み

その他の内科的・神経学的・精神的な疾患による首の痛みは、以下のような対処法があります。

  • 感染症:感染症による首の痛みは、原因となるウイルスや細菌に対する治療を行います。ウイルス感染症では、対症療法(たいしょうりょうほう)や抗ウイルス薬(こうウイルスやく)を用います。細菌感染症では、抗生物質(こうせいぶっしつ)を用います。また、水分補給や休養も大切です。
  • 関節リウマチ:関節リウマチによる首の痛みは、免疫系の異常を抑えるために免疫抑制剤(めんえきよくせいざい)や生物学的製剤(せいぶつがくてきせいざい)などを用います。また、鎮痛薬や筋弛緩剤などで痛みを和らげます。さらに、リハビリテーションや運動療法で関節の可動域(かどういき)を保ちます。
  • 甲状腺の異常:甲状腺の異常による首の痛みは、甲状腺ホルモンの分泌量を調整するために甲状腺ホルモン剤(こうじょうせんホルモンざい)や抗甲状腺薬(こうこうじょうせんやく)などを用います。また、甲状腺が大きくなって圧迫感や呼吸困難(こきゅうこんなん)などがある場合は、手術で一部または全部切除することもあります。
  • ストレス:ストレスによる首の痛みは、ストレスの原因を特定して解決することが最善です。しかし、それが難しい場合は、リラクゼーションや趣味などでストレスを発散することが効果的です。また、睡眠や食事などの生活習慣を改善することも重要です。さらに、抗うつ薬(こううつやく)や抗不安薬(こうふあんやく)などで精神状態を安定させることもあります。

まとめ

首の痛み

首の痛みは、多くの人が経験する不快な症状です。首の痛みには、様々な原因がありますが、そのほとんどは日常生活の中で改善できるものです。しかし、時には重大な病気が隠れていることもあります。首の痛みが強い場合や長期間続く場合は、医師の診察を受ける必要があります。首の痛みには、原因に応じた対処法があります。自分に合った方法を選んで、首の痛みを改善しましょう。

カイロプラクティック整体頭痛片頭痛首の痛み肩凝り背中の痛み腰痛ぎっくり腰椎間板ヘルニア慢性疲労姿勢矯正猫背矯正側弯症骨盤矯正産後の骨盤矯正o脚矯正x脚矯正
カイロプラクティック整体o脚矯正腰痛産後の骨盤猫背

2023年7月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : okada-minoru-home