首の痛みは甲状腺の異常?首に痛みが出る甲状腺の疾患や病気とその治療法
首の痛みは、風邪や筋肉の緊張などで起こることが多いですが、時には甲状腺の異常が原因であることもあります。甲状腺とは、首の前方にあるバタフライ型の臓器で、代謝や成長などに関わるホルモンを分泌する役割があります。甲状腺には、亜急性甲状腺炎や甲状腺がんなどの疾患や病気があり、それらが首の痛みを引き起こすことがあります。この記事では、首の痛みと甲状腺の関係について、甲状腺が痛む原因と症状、首の痛みを引き起こす甲状腺の主な疾患や病気、首の痛みに対する甲状腺の治療法についてご紹介します。
首の痛みと甲状腺の関係:甲状腺が痛む原因と症状
首の前方にある甲状腺は、喉仏(ぼとけ)のすぐ下から鎖骨(さこつ)まで広がっています。甲状腺は、代謝や成長などに関わるホルモンを分泌する役割があります。甲状腺は、ウイルス感染や免疫異常などによって、亜急性甲状腺炎や橋本(はしもと)病などの甲状腺炎を起こすことがあります。また、遺伝や放射能などによって、甲状腺がんを発生することもあります。これらの甲状腺の異常は、首の前方にしこりができたり、首に圧迫感や嚥下(えんげ)困難を感じたりすることがあります。また、首の前方だけでなく、耳の後ろや後頭部(こうとうぶ)などにも放散するような強い首の痛みを引き起こすこともあります。
甲状腺とは何か?その役割と位置
甲状腺とは、首の前方にあるバタフライ型の臓器です。体重60kg程度の人で約15~20g程度で、男性より女性の方が小さい傾向にあります。甲状腺は左右2つに分かれており、それぞれ上極(じょうきょく)と下極(かきょく)からなります。左右2つの部分は中央部で結合されており、これを連絡峡(れんらくきょう)と呼びます。
甲状腺は、代謝や成長などに関わるホルモンを分泌する役割があります。具体的には以下のようなホルモンです。
- 甲状腺ホルモン:ヨウ素を含むホルモンで、代謝や成長、発育などに関与します。甲状腺ホルモンには、T3(トリヨードサイロニン)とT4(テトラヨードサイロニン)の2種類があります。
- カルシトニン:カルシウムの代謝に関与するホルモンで、血液中のカルシウム濃度を下げる働きがあります。
甲状腺は、喉仏(ぼとけ)のすぐ下から鎖骨(さこつ)まで広がっています。喉仏は、気管の一部で、声帯がある部分です。喉仏は男性の方が目立ちますが、これは男性の声帯が女性より太く長いためです。喉仏のすぐ下には、甲状腺の上極があります。甲状腺の下極は鎖骨のすぐ上にあります。甲状腺は皮膚や筋肉などに覆われているため、見た目には分かりにくいですが、首を後ろに反らせたり、飲み込んだりすると動くことがあります。
甲状腺が痛む原因として考えられること
甲状腺が痛む原因として考えられることは、主に以下のようなものです。
- 亜急性甲状腺炎:ウイルス感染によって甲状腺に炎症が起こることで、首の前方や耳の後ろなどに強い痛みが生じる場合があります。発熱や倦怠感なども伴うことが多く、風邪やインフルエンザなどと間違えられることもあります。
- 橋本(はしもと)病:免疫異常によって甲状腺組織が攻撃されることで、甲状腺に炎症が起こる場合があります。橋本病では通常首の痛みは生じませんが、稀に亜急性甲状腺炎と同様の首の痛みを引き起こす場合があります。
- 甲状腺がん:遺伝や放射能などによって甲状腺細胞が異常増殖することで発生するがんです。甲状腺がんでは通常首の痛みは生じませんが、稀に首の前方や側面にしこりや圧迫感を感じる場合があります。また、進行すると喉頭神経や反回神経などを圧迫することで声のかすれや嚥下困難などを引き起こす場合もあります。
これらの原因以外にも、外傷やアレルギーなどで甲状腺周囲に血液や水分が溜まることで圧迫されて首の前方にしこりや圧迫感を感じる場合もあります。また、ストレスや生活習慣の乱れなどで甲状腺ホルモンの分泌が乱れることで、首の痛みやこりを感じる場合もあります。首の痛みが長く続く場合や、しこりや圧迫感がある場合は、甲状腺の異常の可能性があるため、内分泌内科や耳鼻咽喉科などで診察を受けることをおすすめします。
首の痛みを引き起こす甲状腺の主な疾患や病気:亜急性甲状腺炎、甲状腺がんなど
首の痛みを引き起こす甲状腺の主な疾患や病気には、亜急性甲状腺炎や甲状腺がんなどがあります。これらの疾患や病気は、甲状腺にしこりができたり、首に圧迫感や嚥下困難を感じたりすることがあります。また、甲状腺ホルモンの分泌に影響を与えることで、代謝や成長などにも関わるさまざまな症状を引き起こすことがあります。この記事では、首の痛みを引き起こす甲状腺の主な疾患や病気について、それぞれの特徴と診断方法、検査方法についてご紹介します。
亜急性甲状腺炎とは何か?その特徴と診断方法
亜急性甲状腺炎とは、ウイルス感染によって甲状腺に強い炎症が起こることで、首の前方や耳の後ろなどに強い首の痛みが生じる場合がある病気です。発熱や倦怠感なども伴うことが多く、風邪やインフルエンザなどと間違えられることもあります。亜急性甲状腺炎は男性より女性に多く、30~40代で発生しやすいです。また、6~9月の夏季に発生しやすい傾向にあります。
亜急性甲状腺炎の診断は、以下のような方法で行われます。
- 問診:首の前方や耳の後ろなどに強い首の自発的な(何もしなくても) 痛み や 圧迫感 があるかどうか、発 熱 や 倦怠感 などがあるかどうかを聞きます。
- 触診:首の前方にある 甲 状 腺 を触って、しこりや圧 痛 があるかどうかを調べます。
- 血液検査:血液中の 炎 症 マーカー( CRP や ESR )や 甲 状 腺 ホルモン( T3 や T4 )、 甲 状 腺 刺激 ホルモン( TSH )などの値を測定します。亜急性甲状腺炎では、炎症マーカーが高く、甲状腺ホルモンが高く、甲状腺刺激ホルモンが低いことが多いです。
- 甲状腺超音波検査:甲状腺の大きさや形、内部のエコー(反響)の状態などを調べます。亜急性甲状腺炎では、甲状腺が腫れており、内部のエコーが低下していることが多いです。
- 甲状腺シンチグラフィ:放射性物質を注射して、甲状腺の機能や形態を画像で観察します。亜急性甲状腺炎では、甲状腺の放射性物質の取り込みが低下していることが多いです。
甲状腺がんとは何か?その種類と検査方法
甲状腺がんとは、遺伝や放射能などによって甲状腺細胞が異常増殖することで発生するがんです。日本では年間約2万人が発生し、男性より女性に多く見られます。また、20~40代で発生しやすい傾向にあります。甲状腺がんには大きく分けて以下のような種類があります。
- 乳頭(にゅうとう)型:甲状腺がんの約90%を占める最も多いタイプで、比較的予後が良好です。乳頭型はさらに細分化されており、古典型や高リスク型などがあります。
- 濾胞(ろほう)型:甲状腺がんの約5%を占めるタイプで、乳頭型と合わせて「高分化型」と呼ばれます。濾胞型は骨や肺などに遠隔(えんかく)転移しやすい特徴があります。
- 低分化型:高分化型と未分化型の中間的な存在で、甲状腺がんの約1%未満を占めるまれなタイプです。低分化型は非常に悪性度が高く、早期に遠隔転移を起こします。
- 未分化型:甲状腺がんの約1~2%を占めるまれなタイプで、極めて悪性度が高く予後不良です。未分化型は急速に進行し、血管や神経を浸潤(しんじゅん)したり、遠隔転移したりします。
- 髄様(ずいよう)型:甲状腺がんの約1~2%を占めるまれなタイプで、遺伝的な要因を含むこともあります。髄様型はカルシトニンというホルモンを分泌するため、血液中のカルシウム濃度が高くなります。
甲状腺がんの検査は、以下のような方法で行われます。
- 問診:首の前方や側面にしこりや圧迫感があるかどうか、声のかすれや嚥下困難などがあるかどうかを聞きます。
- 触診:首の前方にある甲状腺を触って、しこりや圧痛があるかどうかを調べます。甲状腺がんでは、しこりが硬くて動きにくいことが多いです。
- 血液検査:血液中の甲状腺ホルモン(T3やT4)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、カルシトニンなどの値を測定します。甲状腺がんでは、甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモンは正常範囲内であることが多いですが、髄様型ではカルシトニンが高くなります。
- 甲状腺超音波検査:甲状腺の大きさや形、内部のエコー(反響)の状態などを調べます。甲状腺がんでは、しこりの形が不規則で、内部のエコーが低下していることが多いです。また、しこりに血流が多くみられることもあります。
- 細胞診(さいぼうしん):超音波検査で見つかったしこりから細い針で細胞を採取して、顕微鏡で観察します。細胞診は甲状腺がんの診断に最も重要な検査で、しこりが良性か悪性か、悪性であればどの種類かを判断します。
- 甲状腺シンチグラフィ:放射性物質を注射して、甲状腺の機能や形態を画像で観察します。甲状腺シンチグラフィは細胞診で判断できない場合や、高分化型と低分化型・未分化型を区別する場合に有用です。高分化型では放射性物質の取り込みが高く、低分化型・未分化型では低いことが多いです。
首の痛みに対する甲状腺の治療法:薬物療法、手術など
首の痛みに対する甲状腺の治療法は、原因となる疾患や病気によって異なります。亜急性甲状腺炎や橋本(はしもと)病などの甲状腺炎では、主に抗生物質やステロイドなどの薬物療法が行われます。また、甲状腺ホルモンの分泌が乱れている場合は、甲状腺ホルモンの補充や抑制などのホルモン療法が行われます。甲状腺がんでは、主に手術や放射性ヨウ素治療などの根治的な治療が行われます。また、低分化型や未分化型などの悪性度が高いタイプでは、化学療法や分子標的薬などの治療も行われます。この記事では、首の痛みに対する甲状腺の治療法について、それぞれの特徴と効果、副作用などについてご紹介します。
亜急性甲状腺炎の治療法:対処法と投与される薬
亜急性甲状腺炎の治療法は、主に対処法と投与される薬に分けられます。
対処法としては、以下のようなものがあります。
- 安静にする:亜急性甲状腺炎はウイルス感染が原因であることが多いため、安静にすることで自然治癒することがあります。激しい運動やストレスは避けるようにしましょう。
- 冷却する:首の前方や耳の後ろなどに強い首の痛みがある場合は、冷却することで痛みを和らげることができます。氷嚢(ひょうのう)や冷えピタなどを使って首を冷やしましょう。
- 温める:首のこりや張りがある場合は、温めることで血流を促進し、筋肉をほぐすことができます。湯たんぽやカイロなどを使って首を温めましょう。
投与される薬としては、以下のようなものがあります。
- 抗生物質:亜急性甲状腺炎はウイルス感染が原因であることが多いですが、稀に細菌感染が原因である場合もあります。その場合は、抗生物質を投与されることがあります。抗生物質は細菌を殺菌する効果がありますが、副作用として胃腸障害やアレルギー反応などを引き起こすことがあります。
- ステロイド:亜急性甲状腺炎は免疫異常によって甲状腺に強い炎症が起こることもあります。その場合は、ステロイドを投与されることがあります。ステロイドは免疫反応を抑えて炎症を抑える効果がありますが、副作用として高血圧や糖尿病などを引き起こすことがあります。
- 解熱鎮痛剤:亜急性甲状腺炎は発熱や首の痛みなどを伴うことが多いため、解熱鎮痛剤を投与されることがあります。解熱鎮痛剤は発熱や痛みを和らげる効果がありますが、副作用として胃潰瘍や肝障害などを引き起こすことがあります。
甲状腺がんの治療法:手術や放射性ヨウ素治療など
甲状腺がんの治療法は、主に手術や放射性ヨウ素治療などの根治的な治療に分けられます。また、低分化型や未分化型などの悪性度が高いタイプでは、化学療法や分子標的薬などの治療も行われます。
根治的な治療としては、以下のようなものがあります。
- 手術:甲状腺がんの主な治療法で、甲状腺組織やリンパ節などを切除する方法です。手術は一部切除(部分切除)や全切除(全摘出)などに分けられます。手術は甲状腺がんの種類や進行度によって異なりますが、一般的には全切除が行われることが多いです。手術は甲状腺がんの根本的な治癒を目指す効果がありますが、副作用として喉頭神経や反回神経などを損傷することで声のかすれや嚥下困難などを引き起こすことがあります。また、甲状腺ホルモンの分泌が低下することで低下性甲状腺機能障害(低甲状腺)を引き起こすこともあります。
- 放射性ヨウ素治療:手術後に残存した甲状腺組織や遠隔転移した組織を殺滅する方法です。放射性ヨウ素は経口で摂取し、甲状腺細胞に集積されて放射能を発することで、周囲の細胞を壊死させます。放射性ヨウ素治療は高分化型に有効ですが、低分化型・未分化型では効果が低いです。放射性ヨウ素治療は再発や遠隔転移の予防に効果がありますが、副作用として唾液腺(だえきせん)や涙腺(るいせん)の障害や白血球減少などを引き起こすことがあります。
化学療法や分子標的薬などの治療としては、以下のようなものがあります。
- 化学療法:抗がん剤と呼ばれる薬物を投与して、がん細胞の増殖や分裂を阻害する方法です。化学療法は低分化型や未分化型などの悪性度が高いタイプに対して行われます。化学療法はがん細胞の殺滅に効果がありますが、副作用として吐き気や脱毛などを引き起こすことがあります。
- 分子標的薬:がん細胞の特定の分子に結合して、その機能を阻害する方法です。分子標的薬は低分化型や未分化型などの悪性度が高いタイプに対して行われます。分子標的薬はがん細胞の増殖や血管新生(けっかんしんせい)を抑制する効果がありますが、副作用として発疹や下痢などを引き起こすことがあります。
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