腰痛の原因と種類を知ろう
腰痛は、多くの人が経験する不快な症状です。しかし、その原因や種類はさまざまです。自分の腰痛がどんなものなのかを知ることで、適切な運動や治療法を選ぶことができます。この章では、腰痛の主な原因と危険因子、分類と特徴について解説します。
腰痛の主な原因と危険因子
腰痛の原因は、大きく分けて以下の3つに分類できます。
- 筋肉や靭帯などの軟部組織に関係する腰痛：これは、筋肉や靭帯などの軟部組織が傷んだり、炎症を起こしたりすることで引き起こされる腰痛です。原因としては、運動不足や姿勢不良、重いものを持ち上げたりすることで筋肉が緊張したり、筋肉や靭帯が損傷したりすることが挙げられます。この種類の腰痛は、一般的に急性（発生から6週間以内）であり、患部を触ると圧痛があることが特徴です。
- 脊椎や椎間板などの骨格系に関係する腰痛：これは、脊椎や椎間板などの骨格系が変形したり、損傷したりすることで引き起こされる腰痛です。原因としては、加齢や遺伝的な要素による脊椎や椎間板の劣化（変形性脊椎症や椎間板ヘルニアなど）、外傷や感染などによる脊椎や椎間板の損傷（圧迫骨折や脊椎カリエスなど）、脊柱管内にある神経を圧迫するもの（脊柱管狭窄症や腫瘍など）が挙げられます。この種類の腰痛は、一般的に慢性（発生から6週間以上）であり、神経障害による放散性（他の部位に広がる）や神経根性（特定の神経分布域に限られる）の痛みがあることが特徴です。
- 内臓器官や全身性の疾患に関係する腰痛：これは、内臓器官や全身性の疾患が原因で引き起こされる反射的な腰痛です。原因としては、腎臓（腎盂腎炎や尿路結石など）、消化器官（胃潰瘍や大腸癌など）、生殖器官（子宮筋腫や前立腺癌など）、血管（大動脈解離や大動脈瘤など）、全身性の感染（インフルエンザや肺炎など）、全身性の炎症性疾患（関節リウマチや強直性脊椎炎など）が挙げられます。この種類の腰痛は、一般的に持続的であり、他の部位にも症状が出ることが特徴です。
また、以下のような要因が腰痛の発生や進行に影響すると考えられています。
- 遺伝的な素因：脊椎や椎間
内臓器官や全身性の疾患に関係する腰痛
腰痛の原因は、軟部組織や骨格系だけではありません。内臓器官や全身性の疾患が原因で、反射的に腰痛を引き起こすこともあります。この種類の腰痛は、一般的に持続的であり、他の部位にも症状が出ることが特徴です。この章では、腰痛を伴う内臓器官や全身性の疾患について解説します。
消化器系の病気
消化器系の病気としては、胃・十二指腸潰瘍（いかいよう・じゅうにしちょうかいよう）、胆嚢（たんのう）炎、胆石（たんせき）症、膵（すい）臓炎などがあります。これらの病気は、腹部に激しい痛みを引き起こしますが、その痛みが腰に放散することもあります。特に胆嚢や胆道（たんどう）に関係する病気では、右側の肩甲骨（けんこうこつ）下から右側の腰にかけての放散性の痛みがよく見られます。消化器系の病気による腰痛は、食事と関係があることが多く、食後や空腹時に悪化することがあります。また、吐き気や嘔吐（おうと）、食欲不振（しょくよくふしん）、血便（けつべん）などの消化器系の症状も伴います。
泌尿器系の病気
泌尿器系の病気としては、尿路結（にょうろけっ）石、腎（じん）結石、腎盂（じんう）腎（じん）炎、前立（ぜんりつ）腺（せん）がんなどがあります。これらの病気は、尿路や腎臓に強い刺激や圧迫を与えることで、急性（きゅうせい）的な腰部や側腹部（そくふくぶ）の激しい痛みを引き起こします。
腎臓の異常：少しの痛みから徐々に痛みが増し、今まで感じたことのないような激痛に変化する
腎臓に異常がある場合、腰や背中に痛みを感じることがあります。 腎臓は、体内の老廃物や余分な水分を尿として排出する役割を担っています。 しかし、腎臓に炎症や結石、腫瘍などがあると、腎臓が膨張したり、尿の流れが妨げられたりして、腰背部に圧迫感や痛みを引き起こします。 腎臓の異常による腰背部痛は、以下のような特徴があります。
- 発熱や倦怠感などの全身症状を伴うことが多い
- 尿の色や量、匂いなどに変化があることが多い
- 激しい運動や外傷などの直接的な原因がないことが多い
- 横になっても痛みがおさまらないことが多い
腎臓の異常は、放置すると腎不全や尿毒症など命に関わる危険性があります。 早めに泌尿器科1で診察を受けてください。
骨盤臓器脱（性器脱）：脱出した臓器が引っ張られるような症状、牽引感が痛みとして感じることもあります
骨盤臓器脱（性器脱）は、女性に多く見られる疾患で、子宮や膀胱、直腸などの骨盤内臓器が正常な位置から下方へ移動し、膣から出てくることです。 骨盤臓器脱の原因は、加齢や出産、閉経などによって骨盤底筋や靭帯などの支持組織が弱くなり、重力や咳やくしゃみなどの圧力に耐えられなくなることです。 骨盤臓器脱による腰背部痛は、以下のような特徴があります。
- 下腹部や会陰部（肛門と外陰部の間）に重だるさや突っ張り感を伴うことが多い
- 立っている時間が長くなるほど痛みが増すことが多い
- 排尿障害や便秘などの泌尿生殖器系や消化器系の症状を伴うことが多い
- 手で押し戻すと一時的に楽になることがある
骨盤臓器脱は、放置すると感染や潰瘍などの合併症を引き起こす可能性があります。 早めに婦人科2で診察を受けてください。
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