肩こりから発展する五十肩や頚椎症などの病気とその治療法

この記事では、日常生活で多くの人が悩まされる「肩こり」について、その原因や種類、関連する病気や治療法、予防法などを詳しく解説します。肩こりは放っておくと重篤な病気に発展する可能性もありますので、早めに対策を取ることが大切です。

肩こりの原因と種類

この章では、肩こりが起こる主な原因とメカニズム、そして肩こりの種類と自己チェック方法について説明します。

肩こりの主な原因とメカニズム

肩こりは、首や肩周辺の筋肉が過度に収縮して硬くなることで起こる現象です。筋肉が硬くなると、血液やリンパ液の流れが悪くなり、疲労物質が溜まりやすくなります。その結果、痛みやこり感、重だるさなどの不快な症状が現れます。肩こりの原因はさまざまですが、以下のようなものが代表的です。

姿勢の悪さ：猫背や反り腰などの姿勢は、首や肩に負担をかけます。特に長時間同じ姿勢を続けると、筋肉が固まりやすくなります。
ストレス：ストレスを感じると、自律神経のバランスが崩れて筋肉が緊張しやすくなります。また、ストレスは血圧や血糖値を上昇させることもあり、血管の収縮や血液の粘度の増加につながります。
眼精疲労：パソコンやスマホなどの画面を見ることで目の筋肉が疲れます。目の筋肉は自律神経によってコントロールされており、目の疲れは首や肩にも影響します。
冷え：寒い環境にいると、体温を保つために筋肉が収縮します。その際に首や肩の筋肉も収縮し、血流が悪くなります。
加齢：加齢に伴って筋肉や関節の柔軟性が低下し、動きが悪くなります。また、骨や椎間板の変形によって神経が圧迫されることもあります。

肩こりの種類と自己チェック方法

肩こりは一口に言っても、その原因や部位、程度によってさまざまな種類があります。以下では、代表的な肩こりの種類と自己チェック方法を紹介します。

筋性肩こり：筋肉の収縮や疲労によって起こる肩こりです。首から肩甲骨にかけて硬くなっている感じがします。自己チェック方法は、首を左右に回したり前後に倒したりしてみて、動きにくさや痛みを感じるかどうかです。
関節性肩こり：関節の動きが悪くなることで起こる肩こりです。肩関節や首の関節が固くなっている感じがします。自己チェック方法は、腕を上げたり回したりしてみて、動きにくさや痛みを感じるかどうかです。
神経性肩こり：神経が圧迫されたり刺激されたりすることで起こる肩こりです。肩だけでなく腕や手にもしびれや痛みが広がっている感じがします。自己チェック方法は、手を握ったり開いたりしてみて、力が入らないかどうかです。
内臓性肩こり：内臓の病気や機能低下によって起こる肩こりです。胃や肝臓、胆嚢などの内臓が不調になると、その部位と神経的に関係する肩の筋肉にも影響が及びます。自己チェック方法は、内臓の病気や機能低下の症状（胃もたれ、食欲不振、便秘など）があるかどうかです。

肩こりに関連する病気の特徴と診断

この章では、肩こりが原因や合併症として関連する病気の特徴と診断方法について説明します。肩こりに関連する病気には、五十肩や頚椎症などの整形外科的なものから、更年期障害や高血圧などの内科的なものまでさまざまです。

五十肩（肩関節周囲炎）とは？

五十肩（肩関節周囲炎）とは、肩関節を構成する骨や靭帯、腱などが老化や過度な負担によって炎症を起こし、肩の動きが制限される病気です。五十歳前後で発症することが多いため、五十肩と呼ばれますが、年齢に関係なく起こる可能性があります。五十肩は以下のような特徴を持ちます1。

発症時期：五十歳前後で発症することが多いが、年齢に関係なく起こる可能性がある。
発症原因：老化や過度な負担によって肩関節周囲の組織が傷つき、炎症を起こす。
発症部位：左右どちらか一方の肩に発症することが多いが、両方の肩に発症することもある。
発症経過：自然経過で治癒することが多いが、数か月から数年かかる場合もある。
発症段階：凍結期（急性期）、凝固期（亜急性期）、解凍期（慢性期）の3段階に分けられる。

頚椎症とは？

頚椎症とは、首を構成する7つの骨（頚椎）やその間にあるクッション（椎間板）が加齢や外傷などによって変形し、首や肩周辺の筋肉や神経を圧迫して起こる病気です。頚椎症は以下のような特徴を持ちます23。

発症時期：40歳以上で発症することが多いが、若年者でも起こる可能性がある。
発症原因：加齢や外傷によって頚椎や椎間板が変形し、神経や血管を圧迫する。
発症部位：首や肩周辺の筋肉や神経が圧迫されるため、首や肩の痛みやこり、腕や手のしびれや痛みなどが起こる。
発症経過：進行性であることが多く、放置すると重篤な障害を引き起こす可能性がある。
発症タイプ：神経根型（神経根が圧迫される）、脊髄型（脊髄が圧迫される）、混合型（神経根と脊髄の両方が圧迫される）の3タイプに分けられる。

肩こりに効果的な治療法と予防法

この章では、肩こりに効果的な治療法と予防法について説明します。肩こりは一般的には自己管理で改善することができますが、重度の場合や病気が原因の場合は医師の診断や治療が必要です。また、日常生活での姿勢やストレスなどにも注意することで、肩こりを予防することができます。

肩こりの治療法：マッサージ・鍼灸・薬物療法など

肩こりの治療法は、その原因や程度によって異なりますが、一般的には以下のような方法があります4。

マッサージ：肩周辺の筋肉をほぐして血流を改善する方法です。自分で行う場合や家族に行ってもらう場合もありますが、専門家に行ってもらう場合もあります。整体師やマッサージ師などの施術者によっては、肩甲骨周囲の筋肉をほぐす「肩甲骨はがし」という技術を用いる場合もあります。
鍼灸：鍼（はり）や灸（きゅう）を用いてツボを刺激する方法です。筋肉の緊張を和らげたり、自律神経のバランスを整えたりする効果が期待できます。鍼灸師や医師などの資格を持った者によって行われます。
薬物療法：消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などの薬を用いて痛みやこりを和らげる方法です。市販薬でも効果がある場合もありますが、医師の処方に従って使用する必要があります。長期間使用すると副作用のリスクが高まるため、注意が必要です。
ブロック注射：局所麻酔剤やステロイド剤などを直接注射して神経をブロックする方法です。神経根型頚椎症などで激しい痛み

肩こりの予防法：ストレッチ・運動・食生活など

肩こりの予防法としては、以下のような方法があります1。

ストレッチ：肩周辺の筋肉を伸ばして血流を改善する方法です。朝起きたときや仕事の合間などに、肩を回したり、首を左右に傾けたり、耳に肩をつけたりするようなストレッチを行いましょう。
運動：全身の筋肉を動かして代謝を高める方法です。ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動や、筋トレなどの無酸素運動が効果的です。運動は週に2～3回、20～30分程度行うのが目安です。
食生活：栄養バランスの良い食事を摂る方法です。ビタミンB群やビタミンEなどの抗酸化作用のある栄養素や、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが肩こりの予防に役立ちます。また、カフェインやアルコールなどは血管を収縮させて血流を悪くするため、摂りすぎに注意しましょう。
マインドフルネス：呼吸法や瞑想などで心身をリラックスさせる方法です。ストレスが肩こりの原因の一つであることが多いため、ストレスをコントロールすることが重要です。マインドフルネスは自律神経のバランスを整えて緊張をほぐす効果があります。

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