側弯症の患者さんにおすすめの運動やストレッチ

側弯症の原因と予防法

側弯症とは、背骨が左右に曲がってしまう病気です。側弯症の原因は、多くの場合不明ですが、遺伝的な要素や成長期のホルモンバランスなどが関係していると考えられています。また、神経筋疾患や先天性の骨格異常など、他の疾患に伴って発生することもあります。側弯症を予防するためには、姿勢や体重を正しく保ち、バランスの良い食事や適度な運動を心がけることが大切です。

側弯症の主な原因と危険因子

側弯症の原因は、約80%が不明である「特発性側弯症」と呼ばれるものです。特発性側弯症は、主に思春期に発生し、女性に多く見られます。特発性側弯症の危険因子としては、以下のようなものが挙げられます。

家族歴：親や兄弟姉妹に側弯症がある場合、発生率が高くなります。
成長期：身体が急激に成長する時期には、背骨が曲がりやすくなります。
女性ホルモン：女性ホルモンは、骨の成熟や弾性に影響を与えます。女性ホルモンの変化が側弯症の進行に関係している可能性があります。

側弯症の原因の約20%は、他の疾患によって引き起こされる「二次性側弯症」と呼ばれるものです。二次性側弯症の原因としては、以下のようなものが挙げられます。

神経筋疾患：筋ジストロフィーや脊髄性筋萎縮症など、神経や筋肉に障害がある場合、背骨の支持力が低下し、側弯症が発生しやすくなります。
先天性骨格異常：背骨や肋骨などの骨が正常に形成されない場合、側弯症が発生しやすくなります。
感染症や腫瘍：背骨に感染症や腫瘍が発生すると、背骨の形や位置が変わり、側弯症が発生しやすくなります。

側弯症を予防するための日常生活の注意点

側弯症を予防するためには、日常生活で以下のような注意点を守ることが大切です。

姿勢を正しく保つ：背中を丸めたり、片方の足に体重をかけたりすると、背骨に負担がかかります。背筋を伸ばして、両足に均等に体重を分散させるようにしましょう。
体重を適正に保つ：肥満は、背骨に余分な負担をかけます。また、肥満は女性ホルモンの分泌にも影響を与えます。体重を適正に保つためには、バランスの良い食事と適度な運動が必要です。
運動やストレッチをする：運動やストレッチは、筋力や柔軟性を高めることで、背骨を支える役割を果たします。また、血行や代謝も良くなります。運動やストレッチは、無理をせず、自分に合ったものを選びましょう。

側弯症の症状と診断方法

側弯症の症状は、背骨の曲がり具合や進行度によって異なります。側弯症は、初期段階では自覚症状が少ないことが多く、気づかないまま放置されることもあります。しかし、放置すると悪化し、呼吸困難や心臓障害などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。側弯症の診断は、主に視診や触診、レントゲン写真などで行われます。

側弯症の典型的な症状と合併症

側弯症の典型的な症状は、以下のようなものです。

背中や肩の高さが左右で違う
背中や腰に湾曲や突起が見られる
背中や腰に痛みやこりがある
姿勢が悪くなる
服のフィット感が悪くなる

側弯症は、放置すると悪化し、以下のような合併症を引き起こす可能性があります。

呼吸困難：背骨が曲がると、肺や横隔膜に圧迫がかかり、呼吸機能が低下します。
心臓障害：背骨が曲がると、心臓にも圧迫がかかり、心不全や不整脈などの心臓障害を引き起こす可能性があります。
神経障害：背骨が曲がると、脊髄や神経根にも圧迫がかかり、しびれや麻痺などの神経障害を引き起こす可能性があります。
骨粗しょう症：背骨が曲がると、骨密度が低下し、骨粗しょう症になりやすくなります。

側弯症の診断に用いられる検査と基準

側弯症の診断に用いられる検査は、主に以下のようなものです。

視診：患者さんの背中や肩の高さを目で確認します。また、前屈姿勢で背中や腰の湾曲や突起を観察します。
触診：患者さんの背中や腰に触れて、筋肉のこりや硬さを確認します。また、神経反射や感覚検査を行って、神経障害の有無を調べます。
レントゲン写真：患者さんの背骨の形や角度を測定します。側弯症の程度は、コッブ角と呼ばれる背骨の曲がり具合を示す角度で判断されます。コッブ角が10度未満なら正常、10度以上20度未満なら軽度、20度以上40度未満なら中等度、40度以上なら重度とされます。
その他：側弯症の原因や合併症を調べるために、MRIやCTスキャン、血液検査なども行われる場合があります。

側弯症の治療法とリハビリテーション

側弯症の治療法は、側弯症の原因や程度、年齢や成長期などによって異なります。一般的には、以下のような治療法が用いられます。

経過観察：軽度の側弯症や成長期が終わった患者さんには、定期的に診察やレントゲン写真を行って、側弯症の進行状況を観察します。
コルセット療法：中等度の側弯症や成長期にある患者さんには、コルセットと呼ばれる背骨を固定する装具を着用して、側弯症の進行を抑えます。
手術療法：重度の側弯症や合併症がある患者さんには、手術を行って、背骨を直線的に固定します。手術にはリスクや副作用がありますが、側弯症の改善効果は高いです。

側弯症のリハビリテーションは、治療法に合わせて行われます。リハビリテーションの目的は、以下のようなものです。

筋力や柔軟性の向上：背骨を支える筋肉を強化し、背骨の動きや姿勢を改善します。
痛みやこりの緩和：背骨にかかる負担を減らし、血行や代謝を促進します。
呼吸機能や心臓機能の改善：肺や心臓にかかる圧迫を解消し、呼吸や循環の効率を高めます。
生活機能や精神面のサポート：日常生活や社会活動に支障が出ないように、適切な指導やアドバイスを行います。

側弯症の治療法の種類と選択基準

側弯症の治療法は、大きく分けて経過観察、コルセット療法、手術療法の3種類があります。それぞれの治療法の特徴と選択基準は、以下のようになります。

治療法特徴選択基準経過観察定期的に診察やレントゲン写真を行って、側弯症の進行状況を観察する。特別な治療は行わない。コッブ角が10度以上20度未満である場合。成長期が終わった場合。コルセット療法背骨を固定する装具（コルセット）を着用して、側弯症の進行を抑える。コルセットは一日約16時間以上着用する必要がある。コッブ角が20度以上40度未満である場合。成長期にある場合。手術療法背骨に金属製の棒やネジなどを埋め込んで、背骨を直線的に固定する。手術時間は約4時間

側弯症の治療法の種類と選択基準