頭痛と目の疲れの関係と対策法

パソコンやスマホなどのデジタル画面を長時間見ることで、目だけでなく全身に様々な不調が起こることがあります。その一つが「眼精疲労」と呼ばれる慢性的な目の疲れです。眼精疲労は、目にあらわれるかすみや充血だけでなく、頭痛や肩こり、吐き気などの全身的な症状も引き起こします。この記事では、眼精疲労と頭痛の関係や原因、そして予防・改善するための方法をご紹介します。

眼精疲労とは？目の症状だけでなく全身に影響する慢性的な疲労

眼精疲労とは、十分な睡眠をとっても「目の疲れ」が改善されない、目の病気の一つです。外部からの刺激や目そのものの問題、内部からのストレスなどが影響して起こります。眼精疲労は、目の症状だけにとどまらず、自律神経のバランスを崩して全身に不調をもたらします。また、眼精疲労の裏には、ドライアイや緑内障、老眼などの目の病気が隠れている場合もあります。

眼精疲労の定義と主な原因

眼精疲労とは、目を使う作業を続けることによって、目のかすみや充血などの目の症状があらわれ、睡眠などの休養をとっても十分に回復しない状態です。眼精疲労は、以下の3つの要因が関係して起こります。

外部からの刺激：パソコンやスマホなどのデジタル画面での作業や読書などで目を酷使することや、冷暖房や花粉などによる目への刺激が原因です。
目そのものの問題：度数が合わないメガネやコンタクトレンズを使用したり、乱視や遠視があるのに矯正しなかったりすると、目が疲れやすくなります。
内部からのストレス：人間関係や仕事のプレッシャーなど、さまざまなストレスが自律神経に影響して目に負担をかけます。

眼精疲労が隠れている可能性のあるさまざまな目の病気

眼精疲労は、目にあらわれるかすみや充血だけでなく、頭痛や肩こり、吐き気などの全身的な症状も引き起こします。しかし、これらの症状は、眼精疲労だけでなく、他の目の病気でも起こり得ます。例えば、以下のような目の病気があります。

ドライアイ：涙液が不足したり質が悪くなったりすることで、目が乾いたりかゆくなったりします。ドライアイは、パソコンやスマホを長時間見ることや冷暖房によって起こりやすくなります。
初期の緑内障：眼圧が高くなって視神経にダメージを与えることで、視野が欠けたり視力が低下したりします。初期の段階では自覚症状が少ないため、気づかずに進行する場合があります。
初期の老眼：加齢によって水晶体が硬くなりピント調節が困難になることで、近くのものが見づらくなります。老眼は40歳代から始まると言われていますが、近年では30歳代から発症する人も増えています。
眼位の異常：斜視や弱視などで目が正常に動かせないことで、目の筋肉に負担がかかります。眼位の異常は、遺伝や先天的な要因だけでなく、後天的な要因でも起こります。

これらの目の病気は、眼精疲労と同じような症状を引き起こすことがあります。そのため、眼精疲労だと思っている場合でも、定期的に眼科で検査を受けることが大切です。

眼精疲労が引き起こす頭痛の特徴と原因

眼精疲労は、目の疲れだけでなく、頭痛も引き起こすことがあります。眼精疲労による頭痛は、主に片頭痛と緊張型頭痛の2種類が多いです。片頭痛は、偏頭痛とも呼ばれ、頭の片側に激しい痛みが起こります。緊張型頭痛は、頭全体がギュッと締め付けられるような痛みが起こります。眼精疲労による頭痛の原因は、毛様体筋の収縮と自律神経の乱れにあります。

片頭痛と緊張型頭痛の2種類が多い

眼精疲労による頭痛は、主に片頭痛と緊張型頭痛の2種類が多いです。それぞれの特徴は以下の通りです。

片頭痛：頭の片側に激しい鈍い痛みが起こります。吐き気や嘔吐、光や音に対する過敏などの他の自律神経失調も伴います。発作的に起こり、数時間から数日間持続します。女性や若年層に多く見られます。
緊張型頭痛：頭全体がギュッと締め付けられるような圧迫感や重苦しさを感じます。肩や首の筋肉も凝り固まります。持続的に起こり、数日間から数週間持ちます。男性や中高年層に多く見られます。

毛様体筋の収縮と自律神経の乱れが関係している

眼精疲労による頭痛の原因は、毛様体筋の収縮と自律神経の乱れにあります。毛様体筋とは、水晶体を支えてピント調節を行う目の筋肉です。パソコンやスマホなどで近くのものを見るときは、毛様体筋が収縮して水晶体を丸くします。遠くのものを見るときは、毛様体筋が弛緩して水晶体を平らにします。このように、毛様体筋は目の焦点を合わせるために常に動いています。しかし、長時間同じ距離のものを見続けると、毛様体筋が疲労して収縮したままになります。これが眼精疲労です。眼精疲労は、目の血管や神経を圧迫して頭痛を引き起こします。また、眼精疲労は、自律神経のバランスを崩して交感神経が優位になります。交感神経が優位になると、血管が収縮して血流が悪くなります。これも頭痛の原因になります。

眼精疲労と頭痛を予防・改善するための5つの方法

眼精疲労と頭痛は、日常生活で気をつけることで予防・改善することができます。以下に、眼精疲労と頭痛を予防・改善するための5つの方法をご紹介します。

パソコンやスマホの使用時間や距離を調整する

パソコンやスマホなどのデジタル画面は、目に大きな負担をかけます。画面から出るブルーライトは目の奥まで届いて水晶体や視神経にダメージを与えます。また、画面を見るときは無意識にまばたきが減って目が乾きやすくなります。さらに、画面から出る情報量が多いと目が追いつかずに疲れます。これらのことから、パソコンやスマホの使用時間や距離を調整することが大切です。

使用時間：パソコンやスマホを使う時間は1日2時間以内に抑えましょう。また、20分ごとに10分間休憩を取りましょう。休憩中は目を閉じたり遠くを見たりして目の筋肉をほぐしましょう。
使用距離：パソコンやスマホの画面は目から50cm以上離しましょう。画面が近すぎると目がピント調節できなくなります。また、画面の高さは目より少し下に設置しましょう。画面が高すぎると目が開きすぎて乾きやすくなります。

目薬やサプリメントで目の乾きや栄養不足を補う

目薬やサプリメントは、目の乾きや栄養不足を補うことで眼精疲労や頭痛を予防・改善することができます。目薬は、涙液の代わりになって目の表面を保湿したり殺菌したりします。サプリメントは、ビタミンやミネラルなどの栄養素を摂取することで目の細胞を活性化したり修復したりします。目薬やサプリメントの種類や使用方法は以下の通りです。

目薬：市販の人工涙液や保湿成分配合の目薬を使用しましょう。目が乾いたと感じたら、1日数回点眼しましょう。ただし、保存料が入っている目薬は長期間使用すると目に刺激を与えることがあります。その場合は、保存料の入っていないワンデータイプの目薬を使用しましょう。
サプリメント：ビタミンAやビタミンB群、ビタミンCなどの抗酸化作用のあるビタミンや、亜鉛やセレンなどのミネラルが目に良いと言われています。また、ルテインやアスタキサンチンなどのカロテノイドも目の健康に役立ちます。これらの栄養素を含むサプリメントを1日1回食後に摂取しましょう。

目薬やサプリメントは、眼精疲労や頭痛を予防・改善するための補助的な方法です。根本的な解決には、生活習慣の改善が必要です。

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